歌ってみたのmixをしてみて改めて感じた「音楽をつくることそのもの」の魅力

 久しぶりに…考えてみる。


 結論から言うと、音楽の大きな魅力のひとつに「つくる過程そのもの」があるのではないか?というのをここにきて改めて感じた、ってこと。聴くだけじゃなくて「つくることの楽しさ」「制作そのものに注目した楽しみ方」があるんじゃないかなー、って。


 で、そんなことを考えたきっかけのひとつに、今年の8月くらいからやっている歌ってみたのmixがあって。それが思っていたよりも自分がまず楽しいし、それに関わる人もみんなすごい楽しんでいるように思えて。
 そんなこんなで、それを引き合いに「音楽をつくる楽しみ」みたいなことを自分なりにまとめてみようかな、と思ったりした。内容的にはボカロと歌ってみた中心になるけど、言いたいことはどんな音楽でも一緒。どんなかたちでも良いから「音楽をつくる」ことは楽しいよ。最近はそれを楽しむためのハードルが下がってきたよ。みたいな話かな。

「mix」ということについて

 まずはじめに…これまでは表に出ることのなかった「mix」ということの扱われかたについて思うことがあって、そこから少し考えてみたいな、と。
 ちなみに、mixってのは以下のようなこと(mix=ミキシング)。

ミキシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

ミキシング (Mixing) とは、多チャネルの音源をもとに、ミキシング・コンソールを用いて音声トラックのバランス、音色、定位(モノラルの場合を除く)などをつくりだす作業である。元のチャンネル数から少ないトラックに移行させるため、同義語としてトラック・ダウンとも呼ばれる。

自分で書いた記事だけど、詳細は↓こっちで…
【1】ミキシングとは?何が必要?


 で、自分は専門で勉強してたから当たり前のように「mix」って言葉を使っていたけど、当時はそういう人間じゃないと知りえないような言葉だったと思うわけ。でも、今はそういう人間じゃなくても、歌ってみた界隈で「mix」と言えば普通に通じるし、それはもう中学生でも当たり前のように使っていて。まず、それ自体が当時(5年前くらい?)じゃ考えられなかったよな〜、と。
 さらに、それができることによって、すげー尊敬されるのには嬉しかったけど、ビビったりもした汗…元々注目される部分ではないなって思っていたし。
 でも、考えてみればmixというのは本来、音楽制作においてはとても大切な工程だと思うわけで。料理で言えば調理そのもののポジションだったりするし、そりゃ皆が音楽のつくり方に興味を持ったとして、今までは表に出にくかっただけであって、注目されること自体は不思議ではないんだよね。
 なんか、単純にこんなカタチで言葉が浸透するほどにまで、みんながそれなりに興味を持ってる現状、っていうのが「音楽をつくること自体」の魅力を表してるんではないかな?と思った。その証拠にってわけでもないけど…今、歌い手さんとしてもミキサーさんとしても人気な人たちがいて、そういう人たちがmixについてニコ生をすると、結構な人数が観に来る。まだ全然狭い範囲ではあるんだけれど、そういう需要がある、ってこともあるのかな、と。


 まあ、名前が先行している感じもあってか「mix」ということの本質を皆が皆わかっているのか?ってなると色々と違う部分もあるな、と思ったりもする。そもそも、歌ってみたのmixっていうのは、従来のmix作業からオケとボーカルを合わせるところだけを抜き出した感じなわけで。
 あと、目的と手段がごっちゃになってしまっている人も結構いるのかな、と。良い音楽をつくるのが目的のはずが、良い道具を使うのが目的になっていたり、具体的に言えばM/S処理をするのが目的になっていたりして…それは自分にも言えることでもあるんだけどw
 まあ、そのあたりをみんなで共通理解できればいいな、なんて勝手に思ってみたのもあって、もういっこのblogで色々書いたりしているんだけど、思っていた以上にmix関連の言葉で検索してきてくれる人が多い。


 と、そんな感じで、「mix」っていう、これまで音楽を聴くだけだった人にとっては知り得ないはずのことが、そういう人たちがつくることにも興味を持ったことによって一気に浸透したと思っていて。それは、その過程が制作において大切な過程だからでもあるわけだけど、「音楽はどうやってできているんだろう?」ってことに楽しみを見出せてるところもあるからなんではないかな〜って。
 まあ、自分がそもそも制作そのものを楽しむタチだからそう解釈しているだけかもしれないんだけどね、それにしてはみんなmix自体にも興味を持っている気がして。

音楽をつくろうと思うところまでのハードルが下がった?

 すごい局所的なソースだけど…。

Togetter - 「音楽を聴かなくなった理由――四本淑三さんの講座の学生レポートから」
もひとつ「初音ミクで初めて音楽に興味を持った」という子が二人いて、二人とも速攻でDTM環境を整えて曲を作り始めている。ネットで音楽を聴くという体験は、おそらく聴く側から演る側へ向かう垣根を意識させないんだな。逆に聴き専にジジババが多いのはそれで納得いくというかゲホゲホ。

 ここで書かれているような“「初音ミクで初めて音楽に興味を持った」という子”は、初音ミクに触れて、そこに何かしらの魅力を感じたから行動したんだと思うわけなんだけど、それが「つくることそのものの楽しみ」だったんではないかな、って。
 「楽しそうだな〜自分もやってみたいな〜」みたいなね。
 なかには「有名になりたいな〜同人CDで稼ぎたいな〜」みたいなこともあるかもだけど、それも含めて自分自身が何かをゼロから創作することの楽しみのひとつだと思うしw


 で、今までは音楽を聴く以外の方法で楽しむことって、結構敷居が高かったんだと思うけど、それが今はネットで調べれば「あ、DTMってのがあるんだ」「そうやって歌を録音するんだ」「へー、フリーのソフトでできるのか」みたいな感じで知ることができるし、それに必要な機材自体も安価なのが出てきて身近になったとも思うし。
 そしてさらに言えば、そもそもニコ動で活動しているPさんたちは、今までの概念で言えばアマチュアの人だったり、それこそDTM始めたばかりだったりする人がほとんどなわけで…「それなら自分にもできそうだ」ってことを感じる部分もあるんだろうしね。
 まあ、それで出来た音楽や動画を、人が観たり聴いたりしてどう思うか?ってのは置いておいてだけれども、それでも聴くだけとは次元の違う楽しみがあって、それを自分でもやってみよう、って思うところまでのハードルがすごく下がったように思う。
 (てか、そういうこともあって、今、音楽業界は厳しいけど、音楽機材業界は結構潤っていたりしてw)

自分で音楽をつくってみて

 じゃあ自分はどうか?ってことについて。


 ボカロ曲で言えば、正直、歌ってみたのmixをするまでは友人がやっているやつ以外は全く聴いていなかった。そもそも、聴く対象としての興味自体全然無かった(つくる対象としては興味深々だけど)し、それは今でもそんなに変わっていない。ただ、自分がmixした曲はiPhoneに入れて聴いていて、「良い曲だな〜」とか「面白い曲だな〜」って、そこで色々思ったり考えたりして、聴いてて楽しい。
 自分個人だけのことで言えば、そういうこと…やっぱ自分が関わったものは聴いてて楽しかったり、あー、って思って悔しかったりするわけで笑


 そりゃ、自分よりうまいmixができる人はいくらでもいると思うし、歌い手さんからしても他にいくらでも上手な人はいるんだと思う。ただ、たとえそうだとしても自分が制作に何かしらのカタチで関わった音楽は楽しい。単純に自己満足であるとも思うし、ナルシシズムのひとつであるとも思うけど。

あとは…

 まあ、それを発表して評価してもらえる、ニコニコ動画みたいな場ありき、ってこともあるかな〜とも思う。
 それは前にここでも書いたんだけど、クリエイターにとっての発表の場としてすごい魅力があると思うし、当時はまだ見えていなかったんだけど、人気のクリエイターさんはちゃんとした収入にも繋がっているみたいだし。


 ただひとつ今後の課題というか希望というかなんというか…。
 今、歌ってみた界隈とかでも、上手な人がいっぱい埋もれてしまっていて、今からはじめても中々再生数が伸びない状況だったりするので、そこはなんとかならないかな〜って思ったりする。今後はもっと飽和してくると思うし、つくる側もそうだけど聴く側からしても、そんな中からどう自分の好きな音楽を探せるか?っていうのはひとつの課題なのかもな〜、と。
 まあ、つくる側にしてみたらまずは自分が楽しむことだと思うし、そこさえわかっていれば、再生数伸びなくてもそれなりに楽しいと思うけど。
 自分的には、もっとがんばれ!って思うやつも結構あるけどwそれもまずは置いておいてもいいのかもね、自分がまず楽しければ。人にも楽しんでもらえるようにがんばろう、って、そのうちで良いから思ってもらえればもっと良いけどw
 とりあえず、まずはみんながやってみて音楽をつくる楽しみをしってもらうことのほうが先、ってことで。
 そしたら101匹目のサル現象じゃないけど、何か起こるかもしれない、っていう根拠のない期待はあったりなかったりw

まとめ?

 まあ、あれだ。
 自分は専門を卒業してから漠然と「もっと音楽をつくること自体が身近になればいいな〜、絶対みんな楽しいのにな〜」「みんな大人になったり、就職したからって言って音楽辞めなくて済むようになればいいな〜、せっかく一時期は人生かけちゃうつもりくらいに楽しかったはずなのにな〜」っていうのをずっと考えていた。
 そんなこともあり、最近の状況は勝手になんか嬉しかったりもするw


 と、相変わらず長文を書くとまとめ方がわからなくなり、大変にまとまりが悪いですけど…そういう感じに思うんですw